Unreal Fest West 17

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Unreal Fest West 17 に参加してきました。Unreal Fest West 17 はEpic Games Japan が主催する、オフィシャルの Unreal Engine の大型勉強会です。順次、資料や動画が公開されていくと思うので、詳細に記すのではなく、どんなことを話したか概要を記すことに主目的をおいて、講演内容をまとめます。

Unreal Engine最新機能 アニメーション+物理ショーケース!

Epic Games Japan 星野 瑠美子 氏の講演です(スライドリンク)。もうすぐプレビュー版が公開予定の4.16や、その先のバージョンで追加予定の新機能についての紹介です。下記の機能について紹介されました。

  • リグを使ったアニメーション(4.16 実験段階)
  • 新クロスツール(4.16実験段階)
  • イミディエイトモード物理(4.16)
  • Robo Recallの物理 4.15/16
  • ライブリンク(4.17)

リグを使ったアニメーションではこれまで外部のDCCツールがなければ、作成できなかったアニメーションを、エディタ内で作成・修正出来る機能です。DCCツールを置き換えるのではなく、ゲームジャム等で簡単なものを作成したり、アニメーションを調整しながら開発を進めるワークフローを支援するものとのことです。PlugInの形式で提供予定で、デモではシーケンサーのキーを打つ形でアニメーションを作成することが出来ていました。

新クロスツールでも同様にこれまで外部ツールで設定が必要だった、布のシュミレーションがエディタ内で作成・調整が可能になるとのことです。布の揺れやすさをグラデーションで塗るように指定するなど、こちらも素早く調整をしながら開発を行うのに向いていそうな機能です。

イミディエイトモード物理は揺れ物やラグドールに適した機能で、これまで同様の目的で使用していた、AnimDynamicsに比べて2倍ほどの性能改善になるようです。指定方法も簡単で、RigitBodyノードに繋ぐだけでよく、アニメーションBPのノードをシンプルに出来そうです。

Robo Recall の物理ではインタラクションの多いコンテンツである Robo Recall において、自然な挙動を実現するために用いられた技術や、調整の方法が解説されました。敵ロボットがアニメーション途中に、ユーザーが攻撃を加えても自然に反応を返したり、素早く動かしてもすり抜けることがない、倒れた状態から自然に起き上がる、衝突判定を状況に応じて切り替えて自然な動きを実現するなど、多くの調整が行われていました。4.15にも一部入っているとのことですが、4.16で使えるようになるのが楽しみです。

ライブリンクはモーションキャプチャデータや、DCCツールの動きをリアルタイムにエディタに流し込むことが出来るもので、アニメーションの調整やリアルタイムに動きを反映する際に活用できそうでした。

4.16のプレビューはもうすぐ公開予定なので、上記の機能を是非試して欲しいとのことでした。最後に新しいパーティクルFXシステムのエディタである、ナイアガラを紹介して講演を締めくくりました。途中映像の乱れがあり、中断を挟むなどトラブルも有りましたがとても便利に使えそうな機能が多く、早く試してみたい気持ちになりました。

モバイルゲームにもっとクオリティを!UE4を使ったハイクオリティなモバイルゲーム制作について

Indie-us Games 中村 匡彦 氏 の講演です。(スライドリンク)はじめにUE4のモバイルタイトルについて、そのクオリティと市場の評価が高いことについて紹介されました。特にリネージュ2レボリューションは、まだ韓国のみでのリリースにも関わらず、スマホゲームの売上世界一になったとのことでUE4製のモバイルタイトルが成功を収めていることが示されました。

モバイルゲームでは端末の多様性が問題になることが多く、特にOpenGL ES 3.1が使えるかどうかによって制約が大きく変わるとのことです。1年後には対応の端末は8割を超える見込みのため、今から作成して、1年後にリリースするとちょうど良いと話されました。

次に Galaxy S6 Edge(2015年4月発売)を用いてたUE4のデモ動作検証、パフォーマンスチューニングの具体例について示されました。モバイルの場合は強制的にForward Renderer になること、その場合はMSAAがオススメであること。モバイルプラットフォーム向けのポストエフェクトを使用すること。モバイル用のプレビューにてシェーダの複雑度を確認すること。Cull Distance Volumeによって遠くのオブジェクトを描画しない。自動LOD生成によるポリゴン数削減。デバイスごとの解像度指定、シェーダ、マテリアルサイズの削減など多くの最適化手法が示されました。

氏の端末での検証から、快適にモバイルでアクションゲームを遊ぶなら、描画ポリゴン10-20万くらいが理想であるとのことでした。その他にもデバッガの利用方法やDLCパッチ、GPSロケーションサービスの利用も可能であること、UE4で制作したモバイルゲームのバッテリー消費も極端なものではないことが示されました。

最後に、最新のUE4を使えばハイエンドモバイルゲームも比較的ラクに作れるので「作るならイマ!」という熱いメッセージが発信されました。UE4での高品質なモバイルタイトルが、日本でも数多く生まれていくのが楽しみですね。

リアルタイム3DCGを医療の世界へ!

株式会社サイアメント 代表取締役 瀬尾 拡史 氏の講演です。(本人によるTogetterまとめ)講演は、氏の自己紹介からはじまったのですが、中学生の時に同級生が3DCG制作に必要な知識を得るために、数学の教科書をLaTEXで書いてくれたという物凄いエピソードから紹介が始まり、東京大学医学部医学科卒業の医師であること、ノーベル賞受賞時の映像を制作したことや、木村カエラのCTスキャンを行ったことなど、非常に濃い紹介が行われました。

氏が行った、リアルタイム3DCGを医療の世界で活用した事例として、ひとつ目に心臓シュミレータ UT-Heartが紹介されました。はじめはプリレンダのフルCG映像を作り、専門家向けの数値データ可視化ソフトウェアで使用したとのことですが、心臓に特化した可視化は難しく、また特殊なUIでもあるため現場で使うのも難しかったとのことです。

また、2014年に作成した心臓シミュレータUT-Heartの可視化映像は、CGの採点を行う国際学会SIGGRAPHにてBEST VISUALIZATION OR SIMULATIONを獲得しました(講演でも再生された動画はこちら)が、映像は作り手の主観であり、ユーザーは再生、一時停止しか出来ません。ざっくりとした教育には良いが、現場でガッツリ使うには不足であると氏は言います。

実際に活用するには、医師が本当にみたい角度や断面をリアルタイムに、インタラクティブな操作で見えることが必要であり、その実現のためにUE4を用いて、iPad 上で動く心臓シュミレータを制作したとのことです。実現するために用いたテクニックを解説しながら、スマートフォンOS上で動作させる場合に、ジェスチャの取得や、カメラ、コンパス、スタイラスなどの情報取得ができることなど、開発補助環境の充実があれば、より開発を行いやすくなるため、UE4に是非対応してほしいとのことでした。

次に、気管支鏡シュミレータの紹介が行われました。異能Vationという国が認定する「変な人」にも採択され、その予算も活用して開発を行ったのが気管支鏡シュミレータとのことです。患者にとっては辛い検査である気管支鏡ですが、ベテランの医師でも時間の掛かる難しい検査であり、3DCGモデルを適切なUIを介して活用することで時間短縮が見込め、患者の負担を減らすことができるとのことです。

UE4は高画質3DCGリアルタイム描画エンジンと捉えることで視野が大きく広がる。医療の知識を知っている氏が本当に必要なものを開発することで「3DCG✕医療で大真面目に世界を変えようとしています」という力強い言葉で講演は締めくくられました。

少人数開発でもクオリティを諦めない – エンジニア視点から見る少人数開発の極意

historia Inc 原 龍 氏の講演です。(スライドリンク)講演ではAirtoneVRの開発を通して得た知見を元に、少人数開発の流れと、効率化のために実装した機能やツールについて、意識すべきポイントと共に語られました。

Airtoneの紹介から講演は始まりました。VRエアーリズムアクションゲームであり、10時間以上遊べるボリュームがあるとのことです。今回の Unreal Fest West 17でも出展を行っていました(プレイ動画はこちらです)  。開発期間は10ヶ月で4名からスタートし、最大で14名での開発を行ったとのことです。

重要なポイントとして「常に”最適な完成度”を目指すこと」が繰り返し上げられました。クオリティは出来る限りあげたいが、工数は無限ではないため、何が必要とされているかを明確にする要件定義が大切であると氏は述べます。

完成形のイメージが出来ない場合には、とりあえず「雑に作ってみる」ことが有効だが、その場合には「雑に作ってみる」ということを全員が理解する必要があるということが強調されました。雑でもいいから見せることの重要性を理解すること、また、後からしっかりと作る時間を取ること、確認したらGoの判断をだすことなどが理解の内容として示されます。

また、カスタムエンジンを用いる場合にはメリットとデメリットを理解して判断することが必要だと氏は言います。今回のケースでは、マージやメンテナンスのコストを下げるためにカスタムエンジンの対応を遅らせる決断を行ったとのことです。そのために画作りの抜本的な改修など、諦める部分についても明確にして判断を下したとのことです。

ツールとしてはチャートエディタやリップシンク用のものを作成し、それぞれにおいて必要なもの、諦めるものを切り分けて”最適な完成度”を目指したことが語られます。効率化のために活用したものとしては、プロシージャルメッシュを用いて頂点アニメーションすることで柔軟に形状を変化させることが出来るようになった例や、リズムゲームの醍醐味である音と演出の同期をWwiseの活用やマテリアルパラメタコレクションの活用があげられました。

Airtoneの開発における事例を元に、決断や活用技術が生々しく語られ、そこで得た知見が共有される貴重な場になったのではないかと思います。

 SWITCH & UNREAL ゲーム開発をもっとアンリアルに

Epic Games Japan 代表 河﨑 高之 氏、Epic Games Japan Senior Support Engineer 篠山 範明 氏、任天堂 業務部 技術渉外グループ 光吉 勝 氏、副島 佑介 氏によるセッションです。(automatonさん記事)このセッションではUE4がNintendo Switch のサポートが実現された経緯や、UE4での対応方法について語られました。

B2Bのカスタムライセンシー向けは既に昨年暮れから提供されており、スネークパスというタイトルでは7日間でPCからSwitchへの移行が出来たとのことです。EULA版のユーザー、インディーズ開発者向けは現在準備中であり、配布の方法を詰めている所とのことでした。

デモでは単純な実行であれば、プレイボタン(スイッチ)を押すだけで、実機で動作できること、おすそ分けプレイや複数のコントロール形式にも対応できること、レンダリングのデモが示されました。インディーズ・個人開発者向けにも環境が提供されるのが楽しみですね!

 RoboRecallで使われている最新のVR開発テクニックをご紹介!

Epic Games Japan 岡田 和也 氏の講演です。(PANORAさん記事)Robo Recall は Epic Gamesの最新VRゲームタイトルであり、3月1日にリリースされました。Touch購入者は無料でプレイすることが出来ます。また、Modkitもリリースされており、全アセット・コード・Mod配布ツールが無料で提供されており、日本語ドキュメントも公開されています。

これまでEpic Gamesが開発してきたVRタイトルでのノウハウが順番に紹介されていきます。Showdown、Bullet Trainでの工夫を踏まえて、Robo Recallで実現されたノウハウとして、テレポート時の移動方法や、インタラクションでの工夫、VRならではの上下も意識したゲームデザインや、スケール感を一致させるために行った工夫がイメージしやすい動画とともに説明されていきます。カプセルシャドウや視差マッピングを活用した疑似表現による負荷低減についても解説されました。

前半のまとめとして語られた「ユーザーの期待に答えつつ、その期待を超える」ことという言葉が印象深く残っています。後半では開発を行う指針としてのレギュレーションの大切さと、その基準を守るためのノウハウが詳しく語られました。

Robo Recall は標準のVR Ready PCよりも低い基準で、90FPSでの動作を目指す、かなり高い目標がありました。その目標を達成するためにレギュレーションが定められます。レギュレーションはアセット仕様の策定・最適化作業の指針になるため、開発の初期〜中期の段階で作成する必要があるとのことです。同じ段階でアートの方向性やクオリティも確立させる必要があるとのことでした。今回のイベントでも何度か名前の上がった「極め本」にもある通り、ワークフローを必ず2周回す大切さが語られます。

最適化処理としてはレンダリング方式の変更、Instanced Stereoscopic Renderingによるドローコールの削減、メッシュ結合とカリング効率の調整、Precomputed Visibility Volumesの設定、BPからC++ネイティブ化、Tickイベントの不活性化、オブジェクトのプール、Spawn タイミングのフレーム分散、Interaction ComponentのON/OFFなど非常に具体的な例が数多く示されました。本講演で公開されたノウハウが、多くの現場に役にたつと感じられる講演でした。

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